名前:三宅雄紀(みやけゆうき)
所属:京都大学大学院 理学研究科 地球惑星科学専攻 修士課程
居室:京都大学宇治キャンパス地震予知研究センター新館205
出身:兵庫県川辺郡猪名川町
E-mail:miyake.yuki.44x あっと st.kyoto-u.ac.jp
趣味:Python, 将棋
研究テーマ:粘弾性媒質中の地震サイクルシミュレーション
地球を構成する層は、その化学的な特性から、地殻、マントル、外核、内核のように分類されています。さらに地殻は、力学的な特性から、バキッと破壊が起こる脆性破壊する上部地殻と、ズルズルとした塑性変形する下部地殻に分類されます。巨大地震が起こるのは主に、上部地殻と下部地殻の境界付近です。
上部地殻で地震が起こるメカニズムを大雑把に言うと、歪み(ひずみ)を解放せずに溜めてしまうため、その弾性エネルギーが解放されるときは急激な破壊となり、最終的には地震のような巨大な破壊現象に至るというものです。
一方、下部地殻では、加えられた力をあまり溜めることなく、ズルズル変形することで、力を解放するために、地震が起こることは少なくなるとされています。
そもそもなぜ上部地殻と下部地殻は異なる性質を示すのでしょうか?深くなると圧力が強くなり、温度が上昇します。圧力が大きくなると、押さえつける力が大きくなるので断層面の摩擦強度が大きくなります。一方で、温度が十分高くなると、断層面の摩擦は流動的になり、強度が減少します。このような断層面の摩擦特性は、深くなると変化し、摩擦強度の低下という結果で現れます。摩擦強度が減ると、すぐに断層面が動くために、その時その時の滑り量は小さくなり、大きな地震は引き起こさなくなるわけです。
また、断層面の摩擦特性だけではなく、エネルギーを蓄える媒質の性質も、温度によって変化します。上部地殻では、弾性的な性質を示しますが、上部地殻と下部地殻の境界付近では粘弾性的な性質を示すことが分かってきました。
粘弾性とは、弾性(バネ)と粘性(流体)の性質を併せ持つもので、弾性変形によって蓄えた力を、ゆっくりと解放する応力緩和という特徴的な振る舞いを示します。
あまり直感的ではないですが、岩石も非常に長い時間(数百年など)のスケールで見れば、流体のような変形をすることがあります。
深部で地震が起こらなくなる理由として考えられるのは、
という2つが考えられるのですが、これを粘弾性媒質中の地震サイクルシミュレーションを使って調べようというのが今の研究です。