2016熊本地震に関連する研究

京都大学防災研究所 宮澤理稔

M7.3地震(4/16)によって誘発された大分県中部の地震等

解説資料(2016/5/12作成)
Japan Geoscience Union Meeting 2016で発表したポスター(2016/5/25,26発表)
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研究概要(2016/11 アップデート)
2016年4月16日のM7.3(Mw7.0)熊本地震発生の約30秒後に、大分県の湯布院でM5.9(M6.0前後と推定)の別の地震が発生した。この地震は、熊本地震の地震波が通過している最中に発生したため、地震波によって誘発(動的誘発)された地震と考えられる。世界的に見てもM5を超えるような地震が、地震波によって誘発される現象は極めて珍しい。

大分の地震がどのような過程を経て誘発されたかを調べるために、熊本地震の地震波によって大分の地震の震源に作用した力の変化を、熊本地震の地震波動場の数値シミュレーションを通じて求めた。

誘発された地震のメカニズムを仮定して、震源付近に作用したクーロン破壊応力変化を求めたところ、地震誘発時には+650 kPaにも上っていたことが分かった。静的変化が+21 kPa程度である事を考えると、地震の波による動的応力変化が誘発に大きく寄与していたと考えられる。

波動計算結果

大分で誘発された地震の震源付近に作用した応力変化
横軸は熊本地震発生からの時間(秒)、縦軸は応力変化の大きさ(kPa)。32.5秒付近にある縦棒が、地震の誘発時に相当する。応力変化の値が大きいほど、地震が誘発されやすい状態であり、小さいほど地震が起きにくい状態であることを示す。

参考文献
Miyazawa, M. (2016). An investigation into the remote triggering of the Oita earthquake by the 2016 Mw 7.0 Kumamoto earthquake using full wavefield simulation, Earth Planets Space, 68, 205, doi:10.1186/s40623-016-0585-z.

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