満点計画とは?

 ものごとの真の姿を明らかにする上で,それに関するデータの質と量は非常に重要です.例えば,医学分野において,CT(Computerized Tomography)による体の「断層」写真はガンの早期発見などに大活躍しています.ところが,地震に関する分野においては,これまでは十分なデータを得ることができなかったため,地震学における「断層」写真(Seismic Tomography)は,現在のところ,内陸地震の震源断層を診断できるだけの精度や分解能を持っていません.

 そこで,我々は,地震データの量と質を飛躍的に高めるために,多点で高精度かつ容易に地震を観測できる安価な次世代型の地震観測システムを開発しました.これにより,機材さえ揃えば,万点規模の観測網を構築可能となりました.

 このシステムは地震観測の一つの理想像に近いので,我々はこれを「満点システム」と名付けました.そして,「満点システム」を活用して,地震の観測点数を飛躍的に増やす計画「満点計画」を2006年頃から始めました.「満点計画」は,具体的な研究プロジェクトに対応するものではなく,これまでとは桁違いに観測点数を増やそうとする試み全般や,その背景にある哲学や思想のことを指しています.「満点計画」は,次世代型稠密地震観測と言い換えることが出来ます.

 「満点計画」に関する具体的なプロジェクトはこちら.

参考資料

・一般の方向けの解説
内陸における高密度地震観測,地震本部ニュース,2012年12月号8ページ

満点計画ー次世代型稠密地震観測システムの開発ー,物理探査学会ニュースレター,14, 1-3ページ 2012.

・やや専門家向けの解説
近畿地方中北部における臨時地震観測,京都大学防災研究所年報,53B,203-212, 2010.

次世代型地震観測システムの開発と運用 : 満点(万点)を目指して,京都大学防災研究所年報, 54(A), 17-24、2011.


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