准教授
京都大学 防災研究所 地震予知研究センター 地殻活動研究領域
〒611-0011 京都府宇治市五ヶ庄 地震予知研究センター102号室
noda.hiroyuki.7z(at)kyoto-u.ac.jp
Last updated 2021/08/31
学部~修士は、京都大学の地質学鉱物学分野で断層露頭や断層岩の観察と摩擦・透水実験をしていました。その後の博士後期課程では、指導委託先のハーバード大学で力学や材料科学を学び、高速摩擦を導入した動的破壊の数値計算で地球物理学分野から博士を取得しました。博士取得後は、実験をしたり、数値計算をしたり、理論を使った研究をしています。地震学のコミュニティでは比較的まれな、地質学のバックグラウンドを生かした研究をしたいと思っています。岩石の変形、断層や地震発生の物理に興味があり、実験や数値計算をやってみたい学生さんを歓迎いたします。気軽にご連絡ください。
京大・理・地球惑星科学専攻 「大学院志望の方へ」
断層の力学的性質と、地震の発生・サイクルの理解を目指し、室内実験、数値計算、理論を組み合わせて研究している。
地震の繰り返し発生する断層の滑り速度は、固着時にはプレートの相対変位速度(~ 1 nm/s)よりも遥かに小さいが、地震時には 1 m/s 程度と、10桁以上も変動する。また、地下深部(高温・高圧)の環境下および十分に小さい歪速度の条件ではでは、岩石は破断面に変形集中を起こす事無く延性的に変形する。この様な広い物理条件下での岩石の変形時の力学的性質を明らかにする為、実験的研究を行っている。
(上左)京都大学防災研究所の高温高圧ねじり剪断試験機の試料部分。脆性・塑性遷移領域での岩石の力学的性質を調べる。
(上右)高温(~1000℃)での摩擦実験の様子。千葉大学との共同研究(Noda, Kanagawa, Hirose, and Inoue, 2011)。
実験で得られる力学的な性質(例えば模擬断層の剪断強度等)は、それを適切にモデル化することができれば地震発生のシミュレーションなどに用いることができる。その過程で「物理的な理解」が得られることがあるが、その部分が最も知的好奇心をそそられる部分。これを目標に、理論や数値計算を用いた研究を行っている。
断層挙動の数値計算の安定性、数値精度の向上、計算負荷の軽減のための手法開発を行っている。摩擦発熱や粘弾性緩和など、新たな機構を数値計算に導入する際には、場合によって適したアルゴリズムを選択・開発する必要がある。非常に広い時間・空間スケールを扱う地震サイクルの数値計算では、この点が特に重要となる。
(上)境界積分方程式法による動的破壊シミュレーションの時間発展アルゴリズム(Noda, Sato, and Kurihara, 2020)。左はアルゴリズムの模式図、右は性能評価の結果。既存の手法(赤)が 要素サイズの1次の精度であるのに対し、提案した手法(寒色)は概ね2次の精度。計算負荷はほぼ変わらない。
実験室で調べる事のできる岩石摩擦の性質が、地震を繰り返す断層の地震時の挙動、及び長期的挙動にどのように反映されるのか? cm スケールの室内実験の結果を、遥かに複雑な構造と大きな長さスケールを持つ天然断層に適用して良いのか?地震破壊は破壊開始領域から動的に伝播・成長するが、その初期の不安定はどの様に発生するのか?これら、大地震の発生過程に関連する重要問題に関する理解を進める為に、動的地震サイクルシミュレーションを行っている。
(上)動的地震サイクルシミュレーションのスナップショット(Noda and Lapusta, 2010)。地震破壊の伝播中の滑り速度分布を示している。黒い部分は固着しており、白-青の部分は地震性の高速滑り。
大学院 前期 月4-5 担当:野田、Mori、堤
フィールドでの断層研究、断層帯の力学的・水理学的性質に関する実験的研究、地震発生過程の理論・シミュレーション解析、および地震学的・測地学的手法による断層の挙動解析について学際的に講義し、新しく生まれつつある地震科学の基礎の習得を目指す。(シラバスより転載)
大学院 後期 水2 担当:飯尾、野田
本講義では、地震発生のメカニズムに関する理解を身につける事を目的とする。主に(1)地震波の生成、(2)破壊と摩擦の力学、(3)地震発生の場、に関する講義を行う。(シラバスより転載)
2005年4月~2008年3月 | 日本学術振興会 特別研究員DC1 |
2008年4月~2008年8月 | 広島大学 ポストドクトラル研究員 (受入研究者:嶋本 利彦 教授) |
2008年9月~2011年6月 | カリフォルニア工科大学 ポストドクトラル研究者 (受入研究者:Nadia Lapusta 教授) |
2011年7月~2016年3月 | 海洋研究開発機構 研究員 |
2016年4月~現在 | 現職 |
1999年4月~2003年3月 | 京都大学理学部 |
2002年4月~2003年3月 | 同 地球惑星科学専攻 地質学鉱物学教室 |
2003年3月 | 学士(理学)取得 (指導教員:嶋本 利彦 教授) |
2003年4月~2005年3月 | 京都大学大学院 理学研究科 地球惑星科学専攻 地質学鉱物学分野 博士(前期)課程 |
2005年3月 | 修士(理学)取得 (指導教員:嶋本 利彦 教授) |
2005年4月~2007年3月 | 同 博士(後期)課程 |
2005年9月~2007年2月 | 指導委託によりハーバード大学へ留学 (受入研究者:James Rice 教授) |
2007年4月~2008年3月 | 京都大学大学院 理学研究科 地球惑星科学専攻 地球物理学分野 博士(後期)課程 | 2008年3月 | 博士(理学)取得 (指導教員:平原 和朗 教授) |
2017年度~2018年度 | (修士)三宅 雄紀 「粘弾性媒質中での地震サイクルシミュレーション手法の開発」 |
2019年度~2020年度 | (修士)栗原 悠宇希 「非平面断層の動的破壊シミュレーション:間隙水圧、応力方位、断層の屈曲角度等の諸パラメータとISO成分の関係について」 |
2021年度~ | (修士)山本 誠 |
2018年度 | (PD)佐藤 大祐 |
2019年度~ | (JSPS PD)金木 俊也 |
2005年度~2007年度 | JSPS Grant-in-Aid for JSPS Fellows (DC1), #172149 |
2012年度~2013年度 | MEXT Grants-in-Aid for Scientific Research, #24107705 (代表) |
2014年度~2016年度 | MEXT Grants-in-Aid for Scientific Research, #26870918 (代表) |
2014年度~2018年度 | MEXT Grants-in-Aid for Scientific Research, #26109007 (分担) |
2019年度~2021年度 | JSPS Grants-in-Aid for Scientific Research, #19K04038 (代表) |
2004年 | American Geophysical Union 2004 fall meeting, Outstanding Student Paper Award, Tectonophysics section |
2007年 | American Geophysical Union 2007 fall meeting, Outstanding Student Paper Award, Seismology section |
2011年 | Outstanding reviewer of the year 2011, Geophysical Journal International |
2013年 | JAMSTEC 2012 研究開発功績賞 |
2013年 | Noda et al. (2013, JGR) is introduced as AGU Research Spotlight by Schultz, C. (2013). The mixed mechanisms of large-earthquake nucleation, Eos, Trans. Am. Geophys. Union, 94, 41, doi:10.1002/2013EO410014 |
2013年 | Session highlight of 2013 JpGU annual meeting in Solid Earth Science Section |
2014年 | 2013年度日本地震学会若手学術奨励賞 |
2016年 | 2016年度日本地質学会柵山雅則賞 |