EQinfoをみていると、近畿北部はやたらと大小の地震が起きているのに東海地 方などは大きな地震がまばらにしか起きないように見えます。これは実際に大きな地震 しかおきていないのではなく、京大の観測点が近くに無いので、比較的大きな地震しか 捉えることができないためです。下図のように我々の観測網の観測点配置はかなり複雑 な外形をしています。これを考慮しながらEQinfoの図を見てください。
また、一般に震源を正確に知るためには、震源地を囲むように観測点が配置されてい るのが理想的なのですが、地形やノイズの多い都市部を避ける必要などから理想的な配 置はなかなか実現できません。観測網の中心部では、マグニチュード1程度の微小な地 震ももれなく捉えることができ、震源決定精度も非常によいのですが、観測網から遠ざ かるにつれ、検知能力(どのくらい小さな地震まで捉えることができるか)も震源決定 精度も悪くなっていきます。
刻々入力されてくる地震波形データを常にコンピュータが監視し、地震が発生したら 、自動的にP波やS波の到着時刻および最大振幅等を読み取り、震源計算を行います。 通常はかなり良い精度で震源やマグニチュードを決めることができます。EQinfo の震央マップに表示されるのはこの自動震源決定の結果です。 しかし、偶然別の場所で2つの地震がほぼ同時に起きたりするとコンピュータでは正 確な震源決定ができない場合があります。(2つ地震が起きたのだと認識できない。) また、強風や雷等の自然のノイズ、道路工事等の人工的なノイズによって波形が乱され ると正確な震源決定ができない場合があります。 実際には全ての地震データは後日、人間の目でチェックされています。その際自動震 源決定に間違いがあれば修正されます。また、発破などの人工的な地震はこの時とり除 かれます。地震学的な研究はこのような再チェックされたデータ(再験測データ)を基 に行われます。
採石や土木工事等の為、発破が行われることがあります。大きいものではマグニチュ ード2〜3に相当するものも行われます。例えば、瀬戸内海の家島で毎日のように行わ れる発破がEQinfoの震央マップにも表示されます。発破による地震波形には特徴 があるので(全観測点でP波初動が「押し」である、S波が顕著ではない、非常に浅く 震源が決まる、主に平日の昼間にしかやらない等々)、人間がチェックすれば容易に判 別できるのですが、現在のSATARNの自動震源決定プログラムではその判別は行っ ていません。