SATARN(Seismic Automatic Triggerring And Recording Network)は、
京都大学防災研究所地震予知研究センターの微小地震観測システムです。
以前は微小地震観測網は阿武山、鳥取、北陸などの6箇所の観測所で独立に運用
されてきました。各々の観測所のシステムは導入年代や使用するハードの違いがあ
り、観測所相互のデータ交換やデータ統合には繁雑な作業が必要でした。 そこで
『地震波形データ総合解析装置』の名のもとに、全観測所に同一のハード&ソフト
で構成されるシステムを導入すると同時に波形データを宇治キャンパス内の地震予
知研究センターに伝送できる統合システムの構築が計画されました。こうしてでき
あがったのが、SATARNです。1994年にシステムの構築を開始し1995
年初頭より試験運用および本格運用を始めました。
データの流れは上図のようになっています。近畿北部(旧阿武山観測所系)、
山陰地方(鳥取観測所系)、北陸・飛騨地方(北陸および上宝観測所系)、
徳島地方(徳島観測所系)に配置した約40点の地震観測室のデータは地上の専用電話
回線や通信衛星を通って各観測所に送られます。各観測所においてこれらの地震波形信号
は受信されSATARNの収録および解析装置に送り込まれます。それを基
に各観測所直属の観測点だけを用いたデータ収録、自動震源決定、手動再験測やそ
の他の解析を独立に行います。集められた地震波形データは観測所で処理される一
方、通信衛星や地上の専用回線を通して宇治の地震予知研究センターにリアルタイム伝送さ
れます。センターには5つの観測所からのデータが全て集まります。(旧阿武山系
は95年3月よりセンターに直送。また、宮崎観測所系は地理的に隔絶しているた
め現在のところSATARNには含まれない。)また、隣接する他の大学や気象庁
の観測網ともリアルタイムでデータ交換を行っています。センターではこれらのデータ
を用いて自動震源決定(EQinfoのページに表示されるのはこの結果です。)、
波形データベース構築その他の解析を行っています。センターでは観測所単独ではう
まく決められない深発地震や、観測網の境界領域に起きた微小地震の解析を行います。
ある観測網に属する観測点のデータを、隣接する観測網の観測所に中継する役割も果
たします。また、各観測所独自の解析結果を統合し、より広域かつ詳細なデータセット
の構築を行います。