ウィーヘルト地震計(写真右)

1904年(明治34)年にドイツのエミル・ウィーヘルト(1861-1928)が作成した大型の機械式地震計で、重い倒立振子と振子のよけいな動きを抑える空気制振器を備え、巧妙な梃子の仕掛けを使うことで、それまでの地震計に比べてはるかに性能のよい物となった。この地震計によって地震波のP、S、L波がしきべつできるようになった。また地球の反対側からの地震波も捉えられるようになり、地球内部の大構造が明らかになった。

倍率:上下動150倍、水平動170倍

周期:上下動4.7秒、水平動10.0秒

おもり:上下動1.3トン、水平動1.0トン

 阿武山では1929(昭和4)年、観測所開設と同時に設置され、1991(平成3)年6月末まで稼働。

佐々式大震計(写真左)

 1934年(昭和9)年、低倍率・長周期地震計として、佐々憲三により設計設置される。錦地の大地震を記録するため開発された地震計で、感度が低いため地震が記録されることは年に数回であった。水平動のみで、倍率:1.1倍、周期:25秒。1943年鳥取地震およ び1948年福井地震の長周期波形は,金森博雄博士(カリフォルニア工科大学名誉教授,平成19年度京都賞受賞)の断層モデルによる解析(1972年)に使われ, 世界的に有名となった。1997(平成9)年12月末で観測を終了した。

ガリチン地震計(写真右)

 ロシアのボリス・ガリチン(1862-1916)が作った地震計で、電磁式地震計としては最も古く、1890(明治23)年頃作成され、その後、ウィリップの改良したものとともに広く世界で使用された地震計である。この地震計は動線輪方式で、地動を出ん来てkに振動に変換し、これを高感度の電流計へ直接導いて光りrバー(長さ1m)によりプロマイド紙に光学記録された。

周期:振子10〜20秒、電流計10〜20秒

最大振動倍率:1000〜2000倍

 阿武山では、1938(昭和13)年頃に設置され、1964(昭和39)年までの記録が保存されている。


本ページの解説は主に、阿武山勤務の技術職員、浅田照行氏(2009年定年退職)による

 京大防災研究所技術室報告, 10, 1-10, 2008. を基にしています。

観測所開設以来用いられてきた歴史的な地震計たちは,地震学の発展に大きな貢献をしてきました。現在はその役割を終え,本館・東館 地下の観測室に 当時の姿そのままに展示されています。

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