ニュージーランド南島北部における稠密地震観測

 2009年11月に、南島北部のMurchison basin周辺で観測点選定調査を行い、満点システムを用いて、2カ所で試験的な地震観測を開始しました。2011年2月のクライストチャーチ地震の発生を受けて、急遽、余震観測を29カ所で実施しました。2012年3月に南島北部に19カ所の地震観測点を設置、2013年4月には、クライストチャーチ地震の余震活動の低下を受けて、余震域東部の7カ所を残して、他の観測点を南島北部へ移設しました。

 ニュージーランド南島北部において活断層直下の下部地殻に低比抵抗異常が見つかりました(Wannamaker et al., 2009)。この観測結果は,沈み込む海洋プレートから脱水した水が上昇して地殻に達し、下部地殻を局所的に「やわらかく」することにより、直上の断層に応力集中が生じて内陸地震が発生するという、内陸地震の発生モデルと調和的です。「やわらかい」領域の実態を明らかにして、内陸地震の発生過程のモデルを構築することが本研究の主な目的です。

<関連するプロジェクト>

・平成22年度防災研究所拠点研究「日本-ニュージーランド内陸地震研究ネットワークの構築 ―代表的な沈み込み帯における比較研究―」

・科学研究費補助金 基盤研究(A)海外学術 平成23〜26年度
 「内陸地震の断層直下はやわらかいのか?−ニュージーランド南島北部における稠密観測」

・科学研究費補助金 基盤研究(B)海外学術 平成27〜29年度
 「内陸地震の発生過程の解明-ニュージーランド南島北部における稠密地震観測による- 」

<参考資料>

 ニュージーランド南島北部における地震観測,京都大学防災研究所年報,57B,94-101, 2014.


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