地形形成進化学

例えば日本列島は、地球規模の立場から見ると、海底からそびえ立つ長大な山脈と言えます。一般に、海洋プレートが沈み込むところではそのような長大な山脈（島弧）が形成されますが、その具体的な形成メカニズムは良く分かっていません。なぜ地球上には、かくも様々な地形のでこぼこ（起伏）があるのでしょうか。こういった問題は、伝統的に地質学や地形学の立場から研究されてきましたが、物理学に基づいて理解できるよう目指しています。この問題と関連して、粘弾性媒質中の変位の食い違い理論の開発や測地・地震データのインバージョン解析手法の開発も世界最先端のレベルで行っています。

• インバージョン解析

地球科学では観測可能なパラメタは非常に限られているので、観測されたパラメタからより物理的に意味のあるパラメタを推定するインバージョン解析（逆解析）が重要となります。測地データ等のインバージョン解析を行うと共に、その手法開発を進めてきました。

研究のまとめ

• 断層運動に伴う粘弾性応答

地震など地球内部での応力の解放によって生じる地殻の変形応答を求めることは固体地球科学における基礎的重要課題と言えます。地震時の変形については半無限弾性体が良い近似となりますが、その余効変動や地震サイクル、更にはもっと長期間の変動を考える際には、アセノスフェアの粘弾性的性質を考慮する必要があり、それに対応した計算手法を開発しています。

• 変動帯テクトニクス

日本列島などの島弧ー海溝系やヒマラヤーチベットなどの大陸衝突帯では活発な地殻の変形運動が生じています。それらはプレート運動に起因していると考えられますが、変動帯内部でどのような変形運動が起こるのか、その具体的プロセスは未だ良く分かっていません。変動帯のテクトニクスが従う原理や法則の解明を目指しています。

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