宮崎観測所

889-2161 宮崎市加江田3884

TEL:0985-65-1161

FAX:0985-55-4005

 
 

 宮崎観測所(写真1)は地震予知研究センター付属の遠隔地施設のひとつです。遠隔地施設としては珍しく、比較的アクセスの良い場所にあります。宮崎空港からは車で15分程度ですし、列車も1時間に1本弱の頻度で通っており、最寄り駅からは徒歩で来所可能です。また近辺には観光地も多く、「鬼の洗濯板」と呼ばれる波状岩で有名な青島や、プロ野球の巨人軍の宮崎キャンプ実施地である宮崎県総合運動公園までは、ともに徒歩1時間程度です。現在(2013年),常勤・非常勤あわせて4名の教職員が勤務しています。

 現在の宮崎観測所の主要な役割は、横穴を利用した地殻変動の精密連続観測です。観測所には総延長約 300 m の観測坑道(トンネル)が敷設されており、そこに設置した伸縮計と水管傾斜計を利用して、地殻のひずみの変動を10?9程度の精度で計測しています(写真2)。この値は長さ100 km の棒が 0.1 mm(髪の毛の太さ程度)縮んだ場合のひずみに相当します。九州・四国の複数点で同様の観測が実施されており、宮崎観測所で保守・データ処理を行っています。

           


 写真2:観測坑道内部。左手前の緑の容器には水管傾斜計の計測部が、

正面のトンネル右側の箱状の容器内には伸縮計が格納されている。


 横穴を利用した地殻変動連続観測は、宮崎観測所では約40年前に始まりました。1990年代以降、地殻変動研究についてのほとんどの成果は衛星測地技術によりもたらされるようになりましたが、数時間以下の時定数をもつ地殻変動の分解能では今でも横穴式観測が勝ります。例えば鹿児島県の伊佐観測点(火山活動研究センター吉松観測室に併設)では、2011年の新燃岳噴火時に噴火活動に対応するひずみの変化が捉えられていますが、その中には他の計測手法では明確には見ることのできない噴火数時間前の地下の膨張を示唆する変動も含まれていました。この発見は噴火プロセスを解明する上での重要な手掛かりになるはずです。

 宮崎観測所のもうひとつの重要な役割は、南九州における高密度地震観測です。現在日本では、防災科学技術研究所等による地震計ネットワークが展開されていますが、それを部分的にさらに高密度化しています。宇治地区・桜島・阿蘇(理学研究科附属地球熱学研究施設)の教職員らと協力して、南九州を東西あるいは南北に貫く複数の測線上に約5キロ間隔で地震計を設置し、九州周辺で発生した地震だけでなく、遠方で発生した地震による地震波も記録しています。

南九州で高密度地震観測を実施する目的のひとつは南九州の地下の流体(水)の分布の推定です。南九州の地下にはフィリピン海プレートが沈み込んでおり、地上には桜島や霧島といった火山があります。火山のマグマの生成には海洋プレートから抜け出した水の挙動が深く関わることが知られています。地下の水の分布を知ることは、火山噴火の根本的な原因を調べることにつながるのです。そして、水の分布を推定する手掛かりが地震波形解析で得られます。いくつかの断面について、結果が出つつあります。 

 






 
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写真1:宮崎観測所。左の建物は観測坑道入口